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認知症などで判断能力が衰えた場合に備えて、判断能力が十分なうちに、あらかじめ信頼できる第三者と契約を結んでおき、判断能力が危うくなってきた時に、契約しておいた第三者に財産管理を任せるという制度です。任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を任せるかなどを柔軟に決めることができます。後見事務は裁判所の選任した「任意後見監督人」がチェックします。
任意後見は、判断能力の低下の進行具合によって、
見守り契約→任意代理契約(財産管理)→任意後見契約→死後事務委任契約
と段階を踏んでいくのが一般的です。
①見守り契約
具体的な支援はしませんが、定期的に連絡をとり見守りながら信頼関係を継続させるための契約です。次の段階に進むタイミングを計ります。
②任意代理契約
判断能力のあるときから支援を受けるための契約です。通常の委任契約となるため、当事者間で合意した内容について代理します。任意代理契約では、任意代理人を監督する人がいないため、ご自身で代理人の仕事ぶりをチェックすることとなります。
③任意後見契約
任意後見契約の内容に基づき、任意後見人による支援が始まり、家庭裁判所が選任した任意後見監督人が任意後見人を監督します。
④死後事務委任契約
通常、任意後見契約は、ご本人が亡くなられると終了します。そこで、ご自身の死後の葬儀や埋葬等に関する事務をあらかじめ委任しておくことができます。
◆任意代理契約と任意後見契約◆
任意代理契約と任意後見契約を組み合わせて契約するのが一般的です。
任意後見契約は、判断能力が衰えたときに備えるものであるため、判断能力が低下しない限り、その効力が生じることはありません。
しかし、判断能力は低下していないものの、入院や寝たきりになってしまった場合など、ご自身で財産管理等をすることが困難となる場合があります。そこで、判断能力が衰えた時に生じる任意後見契約だけでなく、任意代理契約を合わせて締結しておくことにより、どちらの事態にも対処することが可能となります。
このように、判断能力が十分なうちは、任意代理契約に基づき、任意後見人になる予定の方が、代理人として財産管理等を行い、判断能力が不十分になってきた段階で、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立て、任意後見監督人が選任されると、任意後見人が任意後見契約に基づいて財産管理等を行っていくこととなり、将来にわたっての充分な対策ができるのです。
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