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相続人と相続財産の確定が済むと、いよいよ相続財産の分割方法の話し合いです。被相続人が遺言書を遺した場合はそれに従いますが、相続人全員の協議・承諾がある場合は、遺言の内容と異なる内容で相続することも可能です。遺言書がない場合は、相続人全員で話し合って、誰が何をどれだけ取得するかを話し合いで決めていくことになり、この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。
①遺産分割協議は法定相続人全員が参加する
②法定相続人全員が署名・実印での押印をする
③その他
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遺産分割の方法のひとつとして、代償分割とよばれる方法があります。
これは、法定相続分以上の遺産またはすべての遺産を取得する相続人が、法定相続分以下の遺産しかまたは全く相続しない相続人に対し、その相続分の差を金銭で支払うといった遺産分割の方法です。
被相続人の遺産に相続税が課される場合は以下のとおりとなります(詳細は税務署・税理士にご確認ください)
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遺産分割は、以下のような場合に現物を分割できないこともあります。
このような場合、遺産を売却しその代金を取得分に応じて分配するといった遺産分割を行うことができ、換価分割とよばれています。
ここでは特に換価分割と税金の関係についてまとめてみます。
「換価分割」をすると、相続人全員で売却したことになるため、相続税額の全額が取得費加算の適用対象となり税負担を軽減する効果が大きくなるというメリットがあります。
また、不動産を売却するため、譲渡所得税の申告義務がありますが、各相続人の分配割合(共有割合)に応じた金額が譲渡収入金額となります。
不動産を売却するにあたり、まずはその不動産の名義を相続人名義にする登記を申請する必要があります。法定相続分で登記するか、単独名義の登記をしますが、単独の場合は、遺産分割協議書において換価分割である旨明示しておく必要があります。
なお、共同相続人のうちの一人の名義に相続登記したうえで換価し、その後、換価代金を分配するといった遺産分割協議をした場合、共同相続人のうちの一人の名義で相続登記をしたことが単に換価のための便宜のものであり、その代金が分割に関する協議の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題となることはないと考えられます。
換価分割と判断されるためには次のような要件を満たす必要があります。
・直接分割の対象とせず、売却しその換価代金を分割する旨の合意があること
・売却過程に共同相続人全員が関与していること
・遺産分割協議書には、譲渡代金を分割してそれぞれが取得する具体的な代金の合意があること
・各財産(現物)を取得した相続人が他の相続人に対して代償債務を負担するという合意がないこと(代償分割であると判断されてしまう可能性があるため)
代償分割ですと…遺産の現物を取得した者が、その後、取得した遺産を単独で譲渡し、その譲渡によって自己の所有となった代金を、代償債務の弁済として交付したことになります。
換価分割ですと…遺産の現物は未分割のまま譲渡し、その代金を共同相続人が確認してからその代金を合意により各人に分配すると、代金分配の割合によって譲渡した現物を取得した効果が生じます。
換価分割をする際には、遺産分割協議書の記載方法が重要となってくるため、換価分割での遺産分割を検討される方は、一度専門家に相談されることをお勧めします。
相続人の中に未成年者がいる場合は、その未成年者本人が遺産分割協議に参加して、協議書に署名押印をしても、遺産分割協議は無効です。
親が未成年者の代わりに遺産分割協議をすることになりますが、親も相続人として遺産分割協議に参加するときは、親が未成年者を代理することはできません。
親と子の利益が対立して、適切な代理が期待できないからです。
このような場合は、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらわなければいけません。特別代理人候補者には親類、もしくは専門家になってもらうのがよいでしょう。
子供が複数いる場合、それぞれについての特別代理人が必要になります。
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認知症の方は、進行具合によって法律行為を行う意思能力を欠いていることがあり、そのままでは、遺産分割を行うことができません。
相続人に認知症の方がいる場合には「成年後見制度」を利用して遺産分割をすることになります。
家庭裁判所に成年後見人選任の申立てをし、選任された成年後見人が、認知症の相続人の代わりに遺産分割協議に参加します。なお、成年後見人は遺産分割協議を代わりにするだけではなく、ご本人のために、原則、ご本人が亡くなるまで、様々な法律行為を代わりにしていくことになります。
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●遺産分割調停
相続人全員での話し合いで遺産分割協議がまとまらない場合、第三者的な立場にある家庭裁判所を間に入れて話し合いをする調停を利用することができます。この調停は、相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人全員を相手方として申立てるものです。
遺産分割調停では、調停委員が間に入り、客観的に妥当な相続分を指導してくれますが、強制ではありません。
話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合には自動的に審判手続きが開始されます。
●遺産分割審判
遺産分割調停でも合意ができないときは、「遺産分割審判申立書」を提出し、家庭裁判所の審判で結論を出すことになります。
審判では、調停の時のように、相続人間の話し合いが行われることはなく、家庭裁判所が被相続人の財産や権利、各相続人の年齢、職業、心身の状況その他一切の事情を考慮し、公平に判断して、審判を下すことになり、相続人はこの審判の内容に拘束されます。
その際、必要に応じて相続人や遺産の内容についての事実関係を調査したり、相続人の主張の正当性を確かめることも行われます。
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相続財産の中の住宅ローンや借入金などの金銭債務を承継する場合、相続人は法定相続分に応じて債務を引き継ぐのが原則です。
遺産分割協議をして相続人のうちの一人が債務をすべて引き受けるというように、債務の部分について法定相続分と違う割合で相続すると合意したとしても、その合意は相続人の間でのみ有効であり、債権者に対して対抗することはできません。つまり、遺産分割協議の中で債務を承継しないと決まったとしても、金融機関から債務の支払いを求められた場合には、支払わなければならないということです。なぜなら、もし仮に、相続人間の協議が有効となると、債権者は債権回収ができなくなってしまうおそれがあり、債権者に対し過大な負担を強いることになるからです。
例えば、一人の相続人が事業を引き継ぐ代わりに債務も承継し、預貯金については他の相続人で分けるという内容の遺産分割協議をしたとします。相続人間ではこの遺産分割協議は有効です。債務を引き継いだ相続人は毎月きちんと返済していましたが、事業がうまくいかなくなり、返済が滞ってしまったとします。このとき、金融機関は債務を引き継いだ相続人以外の相続人へ支払いを求めることができ、支払いを求められた相続人はそれを拒むことはできません。
●債務引受契約をする場合
上記のような相続人のうちの一人に債務を承継させる旨の遺産分割協議は債権者に対抗することはできませんが、債権者の承諾がある場合には特定の相続人に債務を引き継がせる旨の債務引受契約をすることができます。これを免責的債務引受契約といい、その後は、債務を引き受けた人のみに支払義務が発生し、債権者もそれ以外の相続人に対しては支払いを求めることができなくなります。
債務引受契約を承認するかどうかはあくまでも債権者次第ですので、金融機関などに相談する必要があります。
●不動産を担保に金融機関から借り入れをしていた場合
被相続人が不動産を担保に金融機関から借り入れをし、抵当権の設定登記を経ていた場合、債務者について変更登記が必要となります。
例えば、被相続人の共同相続人をA、Bとします。債務者をAのみとする方法は2種類あります。
まず1つ目は、あらかじめ債権者である金融機関の承諾を得た上、遺産分割協議でAのみを債務者と定める方法です。この場合、Aのみを債務者とする変更登記をすることができます。
2つ目は、債務引き受けをする方法です。Aのみが債務を引き受けることとした場合は、いったん債務者をABとする債務者の変更登記をします。その後、Bの債務を引き受けたことにより、債務者をAと変更する登記をすることになります。
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