親族が亡くなって相続が発生し、相続人がいること・いたことは確実ですが、その所在や生死が分からないというケースもよくあります。このような場合、その相続人の代わりになる不在者財産管理人という人を家庭裁判所に選んでもらい、手続きを進めていくこととなります。

①不在者財産管理人選任審判の申立て

  • 不在者の住所地の家庭裁判所に申立てを行います。
  • 選任された不在者財産管理人は不在者の財産を管理します。
  • 不在者財産管理人の権限は以下のとおりです。
  • 財産の現状を維持する保存行為
  • 目的たる財産・権利の性質を変えない範囲内での利用や改良を目的とする行為
  • 上記以外の行為は家庭裁判所の許可が必要で、遺産分割協議も家庭裁判所の許可を得る必要があります。

 ②不在者財産管理人が加わって遺産分割協議を行う

  • 不在者財産管理人が遺産分割協議に加わる場合、不在者財産管理人が不在者の代わりに署名押印し遺産分割協議書を作成します。
  • 家庭裁判所の許可が必要です。
  • 遺産分割協議書には相続人の範囲を証明する通常の戸籍謄本等以外に以下の書類も必要です。
  • 相続人である不在者の財産管理人であることを証明する選任審判書
  • 不在者財産管理人の印鑑証明書

③失踪宣告審判の申立て

  • 不在者の生死が7年間明らかでないときは不在者の住所地の家庭裁判所に失踪宣告の申立てができます。
  • 申立てできるのは不在者の配偶者、父母、相続人、受遺者などです。
  • 家庭裁判所は失踪に関する届出の公示催告をします。
  • 6ヶ月の公示催告期間が経過すると失踪宣告が確定します。
  • 不在者は失踪期間(7年間)満了時に死亡したものとみなされ、失踪者の相続も発生します。
  • 失踪宣告の申立て人は、審判確定の日から10日以内に不在者の本籍地か申立人の所在地の市町村役場に失踪届を提出することが必要です。

【不在者財産管理人選任申立て及び権限外行為許可申立てを含む相続財産等承継業務をご依頼いただく際の手続きの流れはコチラのページをご覧ください。】

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被相続人が亡くなったことにより相続が発生したが、相続人の存在・不存在が不明な場合や、相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合は、相続財産管理人という人を家庭裁判所に選んでもらうことになります。

①相続財産管理人選任審判の申立て

  • 家庭裁判所に申立てを行います。
  • 相続財産は法人となります。
  • 選任された相続財産管理人が相続財産目録を作成し相続財産を明確にします。
  • 家庭裁判所が命じた相続財産を保存するために必要と認められる処分行為も行います。
  • 相続財産管理人が選任されたことの公告(2ヶ月)も行われます。

②債権者・受遺者に対する公告・通知 

  • ①の公告後2ヶ月が経過すると、以下の公告・通知がされます。
  • 相続人の債務を弁済し、相続人が本当にいないかを確定させるため、債権者・受遺者に対して債権の申出をするように公告がされ、知れている債権者には個別に通知がされます。
  • この公告期間も2ヶ月です。

③相続人捜索公告の申立て 

  • ②の申出期間が経過しても相続人がいることが明らかでないときは、相続財産管理人が家庭裁判所に相続人の捜索を申立てます。
  • 家庭裁判所は、相続人がいるのであれば6ヶ月を下らない一定の期間内に申し出る旨を公告します。
  • 相続財産がプラスの財産よりマイナスの財産である負債の方が多いと見込まれる場合は、公告を要しない取り扱いをする裁判所もあります。
  • 期間内に相続権を主張する者が現れた場合は、相続財産法人・相続財産管理人の代理権が消滅し、通常の相続手続きに移行します。
  • 期間内に相続権を主張する者が現れなかった場合は、相続財産の清算が行われ、清算後の残余財産は特別縁故者への分余、国庫への帰属となります。   

④特別縁故者への財産分与請求審判の申立て

  • ③の公告期間内に相続人である権利を主張する者が現れなかった場合、家庭裁判所は、被相続人と特別の縁故のあった者の請求により、清算後残存すべき相続財産の全部または一部を与えることができます。
  • 特別縁故者の請求がない場合や、特別縁故者へ分与しても残余財産がある場合は、それらは国庫に帰属します。
  • 特別縁故者とは「被相続人と生計を同じくていていた者」「被相続人の療養看護に努めた者」「その他被相続人と特別の縁故があった者」などです。

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