債権譲渡登記に関する登記事項証明書には、以下のような特徴があります。

①交付場所

債権譲渡登記所（東京法務局民事行政部債権登録課：東京都中野区野方一丁目34番1号）で取得可能です。登記情報提供サービスでは取得できません。

②請求権者

以下の方々のみが請求可能です。

ア）譲渡債権の譲渡人又は譲受人

イ）質権の目的とされた債権の質権設定者又は質権者

ウ）譲渡債権若しくは質権の目的とされた債権の債務者又はこれらの債権の取得者

エ）譲渡債権若しくは質権の目的とされた債権についての差押債権者、仮差押債権者又はこれらの債権を目的とする質権の取得者

オ）上記の者の財産について管理・処分の権利を有する者

カ）譲渡人又は質権設定者の使用人

なお、登記事項証明書の請求時には、次の書面を添付します。これらの書面は、原本還付請求や、登記申請書の添付書面を援用することはできません。
（ⅰ）申請人が法人：代表者の資格証明書、法人の印鑑証明書（発行日から３か月以内）

（ⅱ）申請人が個人：市区町村発行の印鑑登録証明書（発行日から３か月以内）

（ⅲ）代理人による申請：代理権限を証する書面

（ⅳ）譲渡人や譲受人の商号（名称）又は本店（主たる事務所）、（個人の場合は氏名又は住所）が登記上の表示と異なっている場合は、変更の事実が分かる書面（法人の場合には履歴事項証明書等、個人の場合は住民票等）

（ⅴ）申請人が前記の（ウ）〜（カ）に該当するときはそれらを証する書面

• （ウ）の債務者：印鑑登録証明書をもって「証する書面」に代えることができますが、印鑑登録証明書の記載が登記された債務者の表示と異なるときは、その変更を「証する書面」が必要です。
• （ウ）又は（エ）の債権の取得者：債権取得に係る売買契約書等が「証する書面」として必要です。
• （エ）の差押債権者又は仮差押債権者：差押決定書の謄本等が「証する書面」として必要です。
• （オ）のうち債権譲渡人等の破産管財人：破産管財人選任証書等が「証する書面」として必要です。
• （カ）の使用人：身分証明書（社員証）の写し又は保険証（譲渡人との関係が分かるもの）の写し等が「証する書面」として必要です。 また、社員証は原本提示が必要です。

③一括証明書

譲渡に係る債権が複数ある場合、数個の債権に係る登記事項を一括して証明した登記事項証明書のことです。
一括証明書は、登記事項のうち、以下の事項の記載が省略されます。

• 原債権者の取扱店
• 債務者の取扱店
• 契約年月日
• 弁済期
• 外貨建債権の表示
• 備考の各欄に記録された事項
• 原債権者及び債務者が複数存在する場合は，１名のみ記載

④個別事項証明書

譲渡に係る債権が複数ある場合、それぞれの登記事項を個別に証明した登記事項証明書のことです。なお、一括証明書と個別事項証明書とでは、証明書の交付手数料が異なります。

債権譲渡登記の登記事項概要証明書とは、登記されている事項のうち、債務者名等の個々の債権を特定することができる事項を除いた事項のみを記載した証明書です。

①交付場所

債権譲渡登記所（東京法務局民事行政部債権登録課：東京都中野区野方一丁目34番1号）で取得可能です。登記情報提供サービスでは取得できません。

②請求権者

誰でも請求できます。

債権譲渡登記の概要記録事項証明書とは、譲り渡された債権を特定する事項や登記原因等を除いた事項を記載したものです。

①交付場所

譲渡人の本店等の所在地を管轄する法務局のほか、全国の法務局で取得可能です。登記情報提供サービスも利用できます。

②請求権者

誰でも請求できます。

名前が似ている登記事項概要証明書と概要記録事項証明書には、以下のような違いがあります。

①記載内容

登記事項概要証明書には、登記原因及びその日付、登記の存続期間、譲渡債権の総額（既発生債権のみの譲渡）が記載されますが、概要記録事項証明書には、これらの事項は記載されません。

②譲渡人の商号本店

概要記録事項証明書は、商業・法人登記の記録とリンクしているため、商業・法人登記において、譲渡人の商号変更や本店移転の登記がされた場合に、これらに連動して変更されます。

登記事項概要証明書は、商業・法人登記の記録とリンクしていないため、商業・法人登記において、譲渡人の商号や本店移転の登記がされても，その内容は変更されません。

③反映時期

登記事項概要証明書は、債権譲渡登記が完了した後、直ちにその内容を反映した証明書の交付を受けることができますが、概要記録事項証明書は、債権譲渡登記が完了した後、債権譲渡登記所から譲渡人の本店等の所在地を管轄する法務局に対して記録すべき事項が通知・記録された後でないと、内容が反映された証明書の交付を受けられません。