一般財団法人を設立するためには、社員・設立者が定款を作成し、公証人の認証を受けなければなりません。

定款の記載事項は、(1)絶対的記載事項(2)相対的記載事項(3)任意的記載事項の3種類に分類されますが、ここでは、(1)の絶対的記載事項をご説明いたします。


■一般財団法人の定款の記載事項

1)絶対的記載事項(法153条)

① 目的

一般財団法人の場合、公序良俗に反するような事業でなければ自由に決めることができます。公益的な事業のみならず、共益的な事業や収益事業を行うこともできます。ただし、公益認定を受ける場合には一定の制限が加わります。

② 名称

名称中に一般財団法人という文字を用いなければなりません。また、既に登記している一般財団法人と同じ名称で、主たる事務所の所在場所も同じ場合はその名称を使用できません。名称には、ローマ字やアラビア数字を使用することもできます。

③ 主たる事務所の所在地

すべての事業を総括する事務所の最小行政区画(市区町村)までを定款に記載します。なお、主たる事務所の所在場所(市区町村以下)を定款で定めなかった場合は、設立者によって定めることとなります。

④ 設立者の氏名又は名称及び住所

設立者全員を記載する必要があります。なお、法人が設立者となる場合は、商号と本店所在地を記載します。また、設立者は遺言で一般財団法人を設立する意思表示をすることもできます。

⑤ 設立に際して設立者(設立者が2人以上あるときは各設立者)が拠出をする財産及びその価額

設立者が複数いる場合、その全員が財産を拠出する必要があります。なお、拠出財産の合計額は300万円を下回ることはできません。

⑥ 設立時評議員、設立時理事及び設立時監事の選任に関する事項

設立の際に最初に評議員等になる者を選任するための規定です。具体的な氏名を記載する方法か、選任する方法を記載する方法のどちらかを定める必要があります。

⑦ 設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人であるときは、設立時会計監査人の選任に関する事項

定款で会計監査人を設置する旨を定めた場合、または、法律の規定により会計監査人を設置しなければならない場合において、設立の際に最初に会計監査人になる者を選任するための規定です。具体的な氏名を記載する方法か、選任する方法を記載する方法のどちらかを定める必要があります。

⑧ 評議員の選任及び解任の方法

一般財団法人の設立後に評議員を選任及び解任するための規定です。⑥の規定は最初になる者のみの規定です。選任方法としては、次のような方法があります。

  • 評議員会で選任する方法
  • 定款で定めた特定の者が選任する方法
  • 選任のための委員会等を設置して選任する方法

※ただし、理事または理事会が関与しての評議員の選任は無効となります。

⑨ 公告方法

公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定めることができます。

  • 官報に掲載する方法
  • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
  • 電子公告
  • 主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法

⑩ 事業年度

各事業年度に係る計算書類(貸借対照表等)や事業報告等を作成するための、計算等の基礎となるもので、原則1年を超えることはできません。

財団法人の機関は、株式会社とは異なります。また、法人の種類によって設置が義務付けられている機関や、最低員数が法定されている機関もあります。


■財団法人の機関

①設立者

 「設立者」は、一般財団法人を設立する際に、財産を拠出し定款の作成をする人です。社団法人と異なり1名でも問題ありません。

 株式会社での発起人に近い役割ですが、一般財団法人設立後は、株式会社の株主や一般社団法人の「社員」と異なり、法人の運営に関与しません。

 

②評議員 

 「評議員」は、一般財団法人・公益財団法人では設置が義務付けられていて、「評議員会」を構成し3名以上必要です。「評議員」は定款で定めた方法で選任しますが、その方法は法定されていないため、①評議員会の決議による方法、②評議員の選解任のための任意の機関を設ける方法、③外部の特定の者に選解任を委ねる方法などが考えられます。なお、理事又は理事会が評議員の選解任をする旨の定款の定めは無効です。

 株式会社で株主に近い役割になります。また、社団法人の社員のような存在です。

 

③評議員会

 「評議員会」は、「評議員」で組織された機関で、法律で定められた事項及び定款で定めた事項に限り決議をすることができます。

 株式会社での株主総会に該当し、社団法人の「社員総会」のような存在です。


■社団法人・財団法人に共通する機関

①理事・代表理事

 「理事」は、社団法人・財団法人の業務を実際に行う人です。

 「理事会」を設置しない一般社団法人で「理事」が2名以上いる場合には代表理事を定めることができます。「代表理事」を定めなかった場合には、各理事が法人を代表します。

 「理事会」を設置する法人は「理事」は3名以上必要で、代表理事を定めなければなりません。「理事会」を設置する場合は、設立時理事の一人1票による多数決で設立時理事の中から設立時代表理事を選定することが義務付けられています。

 法人設立後の代表理事の選定は、「理事会」を設置しない場合は、①定款に定める、②定款の定めに基づく理事の互選又は社員総会の決議によって、理事の中から代表理事を選定することができます。「理事会」を設置している場合は、「理事会」の決議で代表理事の選定を行います。

 「理事」は株式会社での取締役に、「代表理事」は株式会社での代表取締役に該当します。

 

②理事会

 「理事会」は、一般社団法人では定款で定めることによって設置できる機関です。公益社団法人・一般財団法人・公益財団法人は設置が義務付けられています。

 「理事会」では、業務執行の決定や理事の職務の執行の監督、代表理事の選定及び解職を行います。

 なお、「理事会」を設置しない一般社団法人については、「社員総会」で法律で定められた事項や、運営、管理その他一般社団法人に関する一切の事項について決議をし、業務執行は理事が行います。

 株式会社での取締役会に該当します。

 

③監事

 「監事」は、一般社団法人では定款で定めることによって設置できる機関で、「理事」の職務の執行を監督する人です。公益社団法人・一般財団法人・公益財団法人は設置が義務付けられています。

 株式会社での監査役に該当します。

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