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一般社団法人・一般財団法人を設立するためには、社員・設立者が定款を作成し、公証人の認証を受けなければなりません。
定款の記載事項は、(1)絶対的記載事項(2)相対的記載事項(3)任意的記載事項の3種類に分類されますが、ここでは、(1)の絶対的記載事項をご説明いたします。
■一般社団法人の定款の記載事項
(1)絶対的記載事項(法10条)
① 目的
一般社団法人の場合、公序良俗に反するような事業でなければ自由に決めることができます。ただし、公益認定を受ける場合には一定の制限が加わります。
② 名称
名称中に一般社団法人という文字を用いなければなりません。また、既に登記している一般社団法人と同じ名称で、主たる事務所の所在場所も同じ場合はその名称を使用できません。名称には、ローマ字やアラビア数字を使用することもできます。
③ 主たる事務所の所在地
すべての事業を総括する事務所の最小行政区画(市区町村)までを定款に記載します。なお、主たる事務所の所在場所(市区町村以下)を定款で定めなかった場合は、設立時社員によって定めることとなります。
④ 設立時社員の氏名又は名称及び住所
設立時社員(2名以上)は全員を定款に記載する必要があります。なお、法人が設立時社員となる場合は、商号と本店所在地を記載します。
⑤ 社員の資格の得喪に関する規定
社員総会の構成員である社員の変動に関する事項です。社員となるための条件や社員でなくなる条件、入退社の手続き等を記載する必要があります。
⑥ 公告方法
公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定めることができます。
⑦ 事業年度
各事業年度に係る計算書類(貸借対照表等)や事業報告等を作成するための、計算等の基礎となるもので、原則1年を超えることはできません。
社団法人の機関は、株式会社とは異なります。また、法人の種類によって設置が義務付けられている機関や、最低員数が法定されている機関もあります。
■社団法人の機関
①社員
「社員」とは、一般社団法人を設立する際に定款の作成や役員の選任をする人で、設立時には2名以上必要です。一般社団法人・公益社団法人での意思決定をする場である「社員総会」の構成員です。
また、「社員」は、一般社団法人・公益社団法人に対し、経費を支払う義務を負っています。
株式会社での発起人・株主に該当します。
②社員総会
「社員総会」は、「社員」で構成された一般社団法人・公益社団法人の最高意思決定機関として設置が義務付けられています。法律で定められた事項や、運営、管理その他社団法人に関する一切の事項について決議をすることができます。
なお、法人設立後の役員(理事及び監事)の選任は社員総会の決議によって行います。
株式会社での株主総会に該当します。
■社団法人・財団法人に共通する機関
①理事・代表理事
「理事」は、社団法人・財団法人の業務を実際に行う人です。
「理事会」を設置しない一般社団法人で「理事」が2名以上いる場合には代表理事を定めることができます。「代表理事」を定めなかった場合には、各理事が法人を代表します。
「理事会」を設置する法人は「理事」は3名以上必要で、代表理事を定めなければなりません。「理事会」を設置する場合は、設立時理事の一人1票による多数決で設立時理事の中から設立時代表理事を選定することが義務付けられています。
法人設立後の代表理事の選定は、「理事会」を設置しない場合は、①定款に定める、②定款の定めに基づく理事の互選又は社員総会の決議によって、理事の中から代表理事を選定することができます。「理事会」を設置している場合は、「理事会」の決議で代表理事の選定を行います。
「理事」は株式会社での取締役に、「代表理事」は株式会社での代表取締役に該当します。
②理事会
「理事会」は、一般社団法人では定款で定めることによって設置できる機関です。公益社団法人・一般財団法人・公益財団法人は設置が義務付けられています。
「理事会」では、業務執行の決定や理事の職務の執行の監督、代表理事の選定及び解職を行います。
なお、「理事会」を設置しない一般社団法人については、「社員総会」で法律で定められた事項や、運営、管理その他一般社団法人に関する一切の事項について決議をし、業務執行は理事が行います。
株式会社での取締役会に該当します。
③監事
「監事」は、一般社団法人では定款で定めることによって設置できる機関で、「理事」の職務の執行を監督する人です。公益社団法人・一般財団法人・公益財団法人は設置が義務付けられています。
株式会社での監査役に該当します。
(1)社団法人は「人」が結合した団体
社団法人とは、「人(社員)が結合した団体」のことです。
そのため、一般社団法人を設立するには、2名以上の人(社員)が必要とされています。2名いないと「結合」しないからです。
この結合する人のことを「社員」といい、一般社団法人の根本規則である定款で、一般社団法人の社員となる人を、その法人の事業に賛同・賛助する人に限定したり、理事会という機関の承認を受けなければ社員になれないと定めることができます。
「社員」は、自然人のほか、法人もなることができます。
(2)社員総会とは
社団法人の社員全員で構成する機関のことを「社員総会」といい、「社員総会」は社団法人の最高意思決定機関です。
定款の変更や、理事や監事の選解任といった重要なことを決議します。
(3)社員には経費の支払義務がある
法律に、社団法人の「社員は、定款で定めるところにより一般社団法人に対し、経費を支払う義務を負う」と規定されているため、原則、社団法人はこの会費をもとに事業を行うことになります。
したがって、経費支払義務が生じることに留意して社員とならなければなりません。
なお、社員以外の会員の経費負担についての定めを、定款に規定することも可能です。
(4)社団法人の理事
社団法人では、社員総会において1名以上の理事を選任する必要があります(理事会設置一般社団法人では3名以上)。
理事は、社団法人から委任を受けて、実際に業務を執行して社団法人を代表します。また、理事は定款や社員総会の決議を遵守して忠実に職務を行う義務を負っています。
一般法人法111条1項の責任は、原則として総社員の同意がなければ損害賠償の額の全てを免除することができないとされています。(一般法人法112条)
※「一般法人法111条1項の責任」とは
理事、監事又は会計監査人(以下「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
役員等の責任の一部免除には、次の方法があります。
① 社員総会の特別決議による責任の免除(一般法人法113条1項)
② 定款の定めに基づく理事等による責任の免除(一般法人法114条1項)
③ 外部役員等に関する定款の定めによる責任限定契約(一般法人法115条1項)
①は法定されているものであるため、定款等に定めがなくとも社員総会で決議をすることができ、②は定款に定めることで初めて理事会で決議することができます。また、③は、定款で定め、かつ外部役員等と責任限定契約を締結することが必要です。
※「外部役員等」とは
外部理事、外部監事又は会計監査人のこと。
※「外部理事」とは
当該一般社団法人又はその子法人の業務執行理事(代表理事、代表理事以外の理事であって理事会の決議によって一般社団法人の業務を執行する理事として選定されたもの及び当該一般社団法人の業務を執行したその他の理事をいう)又は使用人でなく、かつ、過去に当該一般社団法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人となったことがない理事のこと。
※「外部監事」とは
一般社団法人の監事であって、過去に当該一般社団法人又はその子法人の理事又は使用人となったことがない監事のこと。
免除するための要件と限度は次とおりです。
1.免除の要件
① 役員等が、職務を行うにつき、善意でかつ重大な過失がないこと
② 責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、理事会の決議によって免除することができる旨の定款の定めがあること
③ ②の定款の定めに基づいて、役員の責任を免除する旨の理事会の決議があること。
2.免除の限度
賠償の責任を負う額から「最低責任限度額」を控除して得た額が、免除することができる限度の額となります。
当該役員の責任免除額=当該役員が負うべき賠償総額―最低責任限度額(※)
※「最低責任限度額」とは
役員等が一般社団法人から職務執行の対価として受け、又は、受けるべき財産上の利益の1年間当たりの額に、それぞれ、以下の係数を乗じて得た額のことです。
また、役員等の責任を免除する旨の理事会の決議を行ったときは、理事は、遅滞なく、次のことを社員に通知しなければなりません。
(1) 一般法人法113条2項各号に掲げる事項
① 責任の原因となった事実及び賠償の責任を負う額
② 免除することができる額の限度及びその算定の根拠
③ 責任を免除すべき理由及び免除額
(2)責任を免除することに異議がある場合には、一か月を下らない一定の期間内に当該異議を述べるべき旨
なお、責任を負う役員等であるものを除いた総社員の議決権の10分の1以上の議決権を有する社員が期間内に異議を述べたときは、一般社団法人は、役員等の責任を免除できません。
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