相続人はどれくらいの割合で相続財産を承継するのでしょうか?

亡くなった方が遺した遺言書に相続分が記載されているときはその割合に従って承継しますが、遺言書がない場合は遺産分割協議によって相続分を決めます。しかし、やみくもに相続人だけで協議するといっても基準がないと難しいですから、民法では法定相続分を規定しています。遺産分割協議ではこの法定相続分とおりに決めなくてもかまいません。

  配偶者の相続分  配偶者以外の相続人の相続分 
①配偶者と子  1/2  子 1/2 
②配偶者と直系尊属  2/3  直系尊属 1/3 
③配偶者と兄弟姉妹  3/4 兄弟姉妹 1/4 

①相続人が配偶者と子の場合

  • 配偶者が1/2、子が1/2を相続します。
  • 子が数人いる場合は上記の1/2を均等に配分します。
  • 養子と実子で差異はありません。
  • 民法第900条第4号ただし書きの、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の1/2とするという規定は、平成25年12月11日に公布された改正法で削除されました。
  • 配偶者に離婚や死別の経験があって子がいる状態で被相続人と結婚した場合、その子は被相続人と養子縁組をしていなければ相続人にはなりません。

②相続人が配偶者と直系尊属の場合

  • 配偶者が2/3、直系尊属が1/3を相続します。
  • 直系尊属が同じ世代(親等)で数人いる場合は上記の1/3を均等に配分します。
  • 直系尊属が数世代(異なる親等)いる場合は、被相続人に最も近い者だけが相続人になります。

③相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合

  • 配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を相続します。
  • 兄弟姉妹が数人いる場合は上記の1/4を均等に配分します。
  • 被相続人の兄弟姉妹に父母の一方が異なる兄弟姉妹がいる場合、その者は兄弟姉妹の1/2になります。
  • 例:被相続人に子と直系尊属がなく、配偶者Aと兄弟BCD(Dは母親は被相続人の母親とは異なる)の場合、Aは全体の3/4、BCD合計で1/4になります。さらにDはBやCの1/2になりますので、結果として、BCはそれぞれ1/10、Dは1/20です。A3/4+B1/10+C1/10+D1/20=1となります。

相続・遺言のメインページに戻る。

 旧民法第900条第4号ただし書きでは、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」とするとされていましたが、最高裁判所平成25年9月4日決定により、憲法違反であるとされました。

 これにより、民法が改正され、旧民法第900条第4号のただし書きの上記規定は削除され、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同等のものとすることとなりました。

 この改正法は、平成25年12月11日から施行されました。

 では、この改正は相続によって不動産の所有権を移転させる手続きにどのような影響を及ぼすのでしょうか。

①平成25年9月5日(最高裁の決定のあった日の翌日)以降に開始した相続

 改正法を適用するため、嫡出である子と嫡出でない子の相続分は同等となります。

②平成25年9月4日以前に開始した相続

 最高裁の決定では、旧民法900条第4号ただし書きは、「遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたものというべきである」と判示されました。そして、「憲法に違反する法律は原則として無効であり、その法律に基づいてされた行為の効力も否定されるべきものであることからすると、旧民法900条第4号ただし書きは、本決定により、遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判断される以上、本決定の先例としての事実上の拘束性により、上記当時以降は無効であることとなり、また、旧民法900条第4号に基づいてされた裁判や合意の効力等も否定されることになろう」としつつ、「本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない」とされています。

③登記の取扱い

今後の不動産登記の取扱いとしては、まだ、登記が完了していない事案について平成13年7月1日以降に開始した相続における法定相続は、嫡出でない子の相続分が嫡出である子の相続分と同等であるものとして事務を処理することとなったようです。

 法定相続以外については、従前どおり、遺言や遺産分割等の内容に従って事務を処理することとなります。

相続・遺言のメインページに戻る。

相続財産と相続人の確定が終わったら、どうやって相続するかを決めなければなりません。その相続の方法には、以下の3つがあります。


①単純承認

  • プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐ方法です。
  • 以下の②と③の手続きをしないとこの単純承認になります。

相続放棄

  • 相続財産には借金などのマイナスの財産も含まれます。プラスとマイナスの財産をすべて合計してマイナスになった場合は「相続しない」という選択肢もありえます。この方法が相続放棄です。
  • 相続人が被相続人の死亡を知ってから3か月以内に家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」という書類を提出して手続きをします。
  • 申立てが受理されると最初から相続人ではなかったことになり、代襲相続も発生しません。

限定承認

  • 相続財産にマイナス財産もある場合に、相続で得る財産の範囲内で借金を返済するという条件で相続する方法です。
  • 万が一相続財産を清算したらマイナスの方が大きかった場合は、不足する分は支払う必要がなくなります。
  • プラスの財産が400万円、マイナスの財産が900万円の場合、借金900万円のうち400万円までは返済する必要がありますが、残りは返済しなくてもよくなります。
  • 相続放棄と同様に、相続人が被相続人の死亡を知ってから3か月以内に家庭裁判所に対して「限定承認申述書」という書類を提出して手続きをします。
  • この手続きは、法定相続人が複数いる場合は必ず全員でしなければなりません
  • ただし、既に相続放棄をした人がいる場合は、その人を除いた全員で限定承認の申述しなければなりません。

相続・遺言のメインページに戻る。

共同相続人は被相続人の残した遺産全部について割合的な持分を有していますが、プラスの財産とマイナス財産を含んだ包括的な相続財産全体に対して、各相続人が有する割合的な持分・法律上の地位を移転させることができ、そのことを相続分の譲渡といいます。

①相続分の譲渡の方法

  • 民法905条には、「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる」と間接的に相続分の譲渡を認めているだけで、具体的な譲渡の方法は特に定められていません。

②相続分にマイナスの財産が含まれている場合

  • 相続分の譲渡をする相続人と譲渡人の間では、譲受人に移転します。
  • 債権者に対しては、譲受人が免責的に債務を引き受けることに同意したような場合でなければ、譲渡人は引き続き債務を負い続けます。

③相続分の譲渡の相手方

  • 共同相続人
  • 共同相続人以外の第三者

④遺産分割の当事者

  • 譲渡人が相続分をすべて譲渡した場合、その譲渡人の相続分は消滅し遺産分割の当事者ではなくなります。
  • 相続分の一部のみ譲渡した場合は、その分相続分が減少します。
  • 第三者に譲渡した場合、その第三者は譲り受けた相続分に応じて譲渡人に代わり遺産分割の当事者になります。

⑤相続分の取り戻し

  • 第三者に相続分が譲渡された場合、譲渡人以外の共同相続人はその相続分を取り戻すことができます。
  • これは他人が遺産分割協議に加わることによる混乱を防ぐためです。
  • 相続分の取り戻しのためには、譲渡から1か月以内に、相続分の価額及び譲渡に要した費用を償還する必要があります。
  • 相続分の取り戻しがされると、譲受人は当然に相続分を失います。
  • 相続分の取り戻しを行った各共同相続人は償還に要した負担の割合に応じて取り戻した相続分を取得します。

相続・遺言のメインページに戻る。

お問合せ・ご相談

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-5830-7417

受付時間:10:00~21:00(平日)
      要予約(土・休日)

台東区・墨田区の司法書士・行政書士事務所です。遺言、相続、成年後見、会社設立、古物商・宅建業許認可、ローン借り換え、抵当権抹消、債務整理など司法書士・行政書士がご相談にのります。浅草駅徒歩2分と便利です。
◆ご相談無料&着手金0円
◆相続に関する複雑な手続きをお任せください
◆会社設立は登記申請まで代理します
◆過払い金を取り戻し借金を減らす交渉をします

遺言・相続・会社設立・債務整理の専門家
男性司法書士と女性司法書士がお伺いします
銀座線・都営浅草線・東武線・つくばエクスプレス利用

対応エリア
東京都台東区、墨田区、葛飾区、荒川区、足立区、江東区、江戸川区、埼玉県八潮市、草加市、越谷市、三郷市、吉川市といった東武伊勢崎線やつくばエクスプレス沿線、京成線沿線の千葉県市川市、船橋市、鎌ヶ谷市、白井市

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

03-5830-7417

<受付時間>
10:00~21:00(平日)
要予約(土・休日)

ごあいさつ

司法書士・行政書士池見 啓介
東京司法書士会所属
簡裁訴訟代理関係業務認定
成年後見センター・
  リーガルサポート正会員
東京都行政書士会所属

浅草雷門司法事務所
浅草雷門行政書士事務所

住所

〒111-0033
東京都台東区花川戸1-151
フェスタ花川戸604

営業時間

10:00~21:00(平日)
要予約(土・休日)

会社の設立・変更はこちら

会社の設立や定款変更など
登記の疑問にお答えします