親族が亡くなり、身の回りのものを整理していたときに、遺言が見つかった場合には、家庭裁判所で「検認」の手続きをしなければなりません。

①検認請求義務者

  • 亡くなった方から遺言書の保管を頼まれていた方や遺言書を発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく、家庭裁判所に遺言書を提出して「検認」を請求しなければなりません。
  • 遺言書の提出を怠ったり、検認手続きをしないまま遺言を執行したり、家庭裁判所以外で開封した場合は過料がかかります。

②審判手続き

  • 検認の申立てをすると、家庭裁判所から相続人と利害関係人に検認の日が通知され、その日に家庭裁判所に行きます。遺言書を保管している人はその日に持参します。
  • 家庭裁判所では、相続人らの立ち会いのもとで遺言書を開封し、遺言書の用紙や筆記具、内容、印、日付などを確認して検認調書というものを作成します。

③検認の効果

  • 検認は遺言の効力を決定するものではないので、検認した遺言書を、後日争うことはできます。
  • 検認に立ち会わなかった相続人や利害関係人には、裁判所から通知があります。
  • 検認が終わった遺言書は、申立てすることにより、検認を受けた旨の証明がされます。

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15歳以上になれば誰でもいつでも遺言を書くことができますが、法的に整った遺言にするには、さまざまな条件をクリアしなければなりません。

  • 遺言は文字で書くのが原則です。映像や音声などで記録することはできません。
  • 夫婦や友人同士で共同して作成することもできず、必ずひとりひとりで作成します。
  • 証人が必要な遺言を作成する際は、証人の資格に注意する必要があります。相続人になる可能性の高い人(推定相続人)や直系血族、未成年者などは証人になれません。

主な遺言の種類は以下の3つです。


①自筆証書遺言

  • 本人が遺言の全文・日付・氏名を自筆で書いて押印したもの。
  • ワープロで作成し印字したものは認めらません。
  • 作成時点では遺言の内容が漏れることはありませんが、本人が亡くなった後に、家庭裁判所で検認という手続きが必要です。

②秘密証書遺言

  • 本人が公証役場に行って証書に遺言の内容を書き、署名押印した上で封を綴じ、同じ印鑑を使って封印します。
  • 公証人1人と証人2人の面前で、その封をした証書が自分の遺言であることを告げ、氏名と住所を述べます。
  • 公証人が封紙に必要事項を記入し、本人と証人が署名押印して完成です。
  • 作成時点では遺言の内容が漏れることはありませんが、本人が亡くなった後に、家庭裁判所で検認という手続きが必要です。

③公正証書遺言

  • 本人が公証人と証人2人以上の面前で遺言の内容を話すと、公証人が筆記します。
  • 公証人が書き留めた文章を本人と証人に読んだり閲覧させたりして内容が正確かどうかを確認し、本人と証人が署名押印します。
  • 最後に公証人が署名押印して完成です。
  • 公証役場へ行けない場合は自宅や病院などへ出張してもらうことも可能です。
  • 公正証書遺言は家庭裁判所での検認手続は不要です。

遺言で、相続人になるであろう人(推定相続人)から、相続権を剥奪しておくことも可能です。この方法を、「相続人の廃除」と言い、次のページをご覧ください。

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公正証書遺言は被相続人本人が保管していたり、相続させたい人に保管してもらっているというのがよくあるケースです。しかし、公証役場で公正証書遺言を作ったと生前被相続人が言っていたのにもかかわらず発見できない場合は、公証役場で探してもらうことができます。

①遺言検索システム

  • 昭和64年1月1日以降に全国の公証役場で作成された公正証書遺言・秘密証書遺言を検索できます。
  • 東京は昭和56年1月1日以降分、大阪は昭和55年1月1日以降分から登録されています。

②公正証書遺言の特徴

  • 公正証書遺言は原本が公証役場に保管されているので偽造や破棄の心配がありません。
  • 原本のほかに正本と謄本の合計3通が作成されます。
  • 原本は公証役場で20年保管され、正本は遺言執行者が、謄本は遺言者本人が保管するのが一般的です。

③調査の依頼に必要な書類

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 調査を依頼する人が相続人であることを証するための戸籍謄本
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポート)
  • 上記の戸籍謄本などは、相続人の調査で取得するものと同一ですので、司法書士などの専門家に任せることが可能です。

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封のされていない遺言書が見つかり、筆跡や日付や印鑑の印影から偽造かもしれないと思った場合も、家庭裁判所での検認手続きが必要となります。その後、遺言書が無効であることの調停や審判、裁判をすることになります。

①遺言書の検認手続き

  • 自筆証書遺言を発見した場合はまずは検認手続きが必要です。
  • 検認手続きを経た遺言は法律上有効になったわけではありませんので、偽造の疑いがある場合は調停手続きに移ります。

②遺言無効確認の調停

  • 遺言書の効力を争う場合は調停手続きを申立てします。
  • 家庭裁判所の調停委員会は当事者の主張を聞いて、当事者間に合意が成立した場合は調停証書を作成します。
  • 調停調書は判決と同じ効力ですので、遺言書は無効となります。

③調停に代わる審判

  • 家庭裁判所は調停に代わる審判を下すことがあります。

④遺言無効確認の訴え

  • 調停も成立せず、裁判所が審判を下さない場合は、地方裁判所に対して遺言無効確認の訴えを起こすことになります。

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相続人のいない方が親友に「財産を遺贈する」という遺言を遺していることがあります。しかし、その遺言の内容を実現するための「遺言執行者」が遺言で指定されていない場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めることになります。

①遺言執行者の指定

  • 遺言する人は、遺言の中で1人以上の遺言執行者を指定しておくことができます。また、その指定を第三者に委託することもできます。
  • 相続人のいない方でこれから遺言を書こうとされている方は、遺言執行者を指定しておくのが望ましいでしょう。

②遺言執行者がいない場合

  • 遺言執行者の指定がない場合、遺言執行者が辞退した場合、未成年者などで遺言執行者になれない場合など。
  • 相続人や遺贈を受けた人(受遺者)などの利害関係人は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めることができます。

③特定遺贈の場合

  • 特定遺贈とは、具体的な特定財産を遺贈の対象とする場合です。
  • ある特定の不動産を遺贈によって取得する場合にも不動産登記が必要ですが、この登記は受遺者と相続人または遺言執行者が協力しなければなりません。
  • 相続人がいない場合、遺言執行者がいないと不動産登記ができないことになってしまいますので、②のように家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めます。

④包括遺贈の場合

  • 包括遺贈とは、遺産の全部または3分の1といった割合を示してその対象とする場合です。
  • 包括遺贈の場合も、不動産登記の場面では③と同様に受遺者と相続人または遺言執行者が協力してしなければならないので、相続人がいない場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めます。

⑤相続させるという遺言の場合

  • 相続人がいる場合で、遺言書の内容が「相続させる」という場合は、その財産を取得する相続人が単独で不動産登記をすることができますので、遺言執行者を選任する必要はありません。

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